ブラジル漫画で日本になじんで 湖南のイベントで配布

ブラジルで人気の漫画「モニカ&フレンズ」の作者マウリシオ・デ・ソウザさん(82)=ブラジル・サンパウロ市在住=が、日本に移住したブラジル人の子ども向けに、日本の学校生活を紹介する絵本を作った。当番制で子どもが準備する給食、ブラジルではなじみのない遠足といった日本独特の学校生活を、ポルトガル語の漫画で描いている。湖南市で開かれたイベントなどで子どもたちに贈られた。

絵本は人気漫画の主人公少女「モニカ」とその友達が来日し、小学校へ通うという設定。文化の違いを乗り越えて学校になじめるよう、ブラジル出身の子どもたちを応援する。
集団で登校すること、校内では上履きに履き替えること、学校給食では「いただきます」と声を合わせることなど、学校生活の細部が描かれる。
使われる文房具として、ブラジルではなじみのない「下敷き」を紹介。遠足や運動会も取り上げたほか、子どもが学校を休むときは必ず学校に連絡をするよう、保護者に注意を促すくだりもある。
マウリシオさんは、日本に移住したブラジル人向けの講演などのため、たびたび来日。ブラジル人の子どもたちが、学校生活になじめず苦労していることを知り、絵本出版を思い立った。教師らから聞き取った話などを基に十月上旬に完成した。費用はすべてマウリシオさんが負担した。
これまでに滋賀県のほか、日系ブラジル人の多い愛知、岐阜、三重、静岡、群馬県の子どもたち向けに計約二千冊が配られた。今後も、要望に応じて増刷する。
絵本を手にした湖南市水戸小三年、チェバオ・ニコリさん(8つ)は「日本の学校のシステムが分かり、勉強になる。日本に来る友達も助かると思う」と喜んだ。
また、日本の学校では、他国出身の子どもたちも多く学んでおり、マウリシオさんは今後、スペインや韓国、中国、タガログ語版の出版も検討している。「(母語と日本語の)二カ国語を学ぶことは、彼らの未来に大きな宝物となる。子どもたちが、そんなチャンスを生かせるよう、絵本でサポートできれば」と期待している。(浅井弘美)